私たち器官解剖学分野では、脂質のからだや細胞での重要性や働きについて研究を行っています。脂質は生体にとって不可欠な栄養素であり、あらゆる生命現象に関与します。しかしながら、脂質の取りすぎがメタボや糖尿病の原因となることや、摂取不足が精神疾患やアレルギー疾患を引き起こすことも知られており、体内での脂質のクオリティ維持が私たちの健康維持に重要であることが分かってきました。私たちは、さまざまな病気と脂質との関係について新しい発見を行い、社会に還元することを目指しています。
私たちが特に注目しているのは、脂質の細胞内輸送や構造変化に関与する分子の機能です。遺伝子を改変した動物モデルやヒトの病気サンプルを用いて、脳や免疫機能に対して担う脂質の未知の働きを解明したいと思っています。特に興味を持っているのは、脂質による記憶や情動活動などの脳機能や免疫システム維持機構で、研究成果を一日も早く精神神経疾患や炎症性疾患の病態解明や新たな検査法・予防法・治療法の確立につなげていきたいと思います。
器官解剖学は東北帝国大学医科大学の設立とともに設置された解剖学講座の流れを汲んでおり、教育と研究を通して次代の医療・医学を担う優れた人材を育成することが最も重要な責務だと考えています。現在、学部・大学院の解剖学教育に加えて、若手外科医が高度な手術手技を習得するために、ご遺体を使った手術手技トレーニングの運営も行っています。
器官解剖学のスタッフ・学生一同、力を合わせて頑張っています。多くの学生さんや医療者が私たちの活動に参加してくれることをお待ちしています。
東北大学医学部医学系研究科
器官解剖学分野 教授 大和田 祐二
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